特別講演会

  • 平成30年10月27日(土)13:00-15:00 
  • 場 所
    • 本会場:新領域環境棟1階 FSホール(定員:180名 事前申込制 参加申込者が定員を超えた場合は、抽選
      9月19日〜10月9日の間、このページで参加申込受付を行います。(終了しました)
    • 別会場(同時配信映像):カブリ数物連携宇宙研究機構 1階大講義室(定員:140名 先着順)
  • 特別講演会のインターネット動画配信サービスを実施予定。(終了しました)


13:00-13:40

中島 研吾

スパコンへの数学・スパコンへの算数

中島 研吾(なかじま けんご)
東京大学 情報基盤センター 教授

 

スーパーコンピュータは,スマホやパソコンと同様のCPU(演算装置)を集めた並列計算機です。柏キャンパスのOakforest-PACSは合計558,144コア,1秒間に2.5「京」回の実数演算を実行できます。気候変動,地震,宇宙の起源,材料科学,自動車周囲の流れなど様々な分野のシミュレーションは,最終的には未知数が数千万,数億以上の大規模な連立一次方程式を解くことに帰着されます。人工知能や機械学習の計算でも様々な連立一次方程式が解かれています。本講演では,スーパーコンピュータを使う上で最も重要な連立一次方程式の解法,関連した数学の分野である線形代数学を扱います。線形代数学の基礎となるのが「行列・ベクトル」ですが,2015年頃から「行列」は高等学校の数学では残念ながら教えられていません。スーパーコンピュータに興味のある高校生以下の皆さんには是非ご来場ください。もちろん大学生以上も歓迎です!

 

13:40-14:20

野田 浩司

ガンマ線で見る極限宇宙

野田 浩司(のだ こうじ)
東京大学 宇宙線研究所 准教授

 

この宇宙は我々の想像をはるかに上回る極限的な現象に満ちあふれています。これらをより深く細かく見ることで、よりよく理解しようとするのが宇宙物理学や天文学といった学問です。そこで必要なのは極限宇宙を見るための道具、いわばメガネのようなものです。この講演では、その中でもガンマ線を道具として用いるガンマ線天文学についてご紹介します。ガンマ線は光や電磁波の一種ですが、人間の目で直接見ることはできません。これをとらえるにはいくつか方法がありますが、エネルギーの高いガンマ線をとらえるには、これが地球の大気とぶつかったときに起こる反応を用います。この反応も目では見えませんので、さらに特殊な望遠鏡や検出器が必要です。現在我々がスペインに建設中のガンマ線望遠鏡もこの一種です。このようにいくつもの段階を経て、ようやく宇宙の極限現象を垣間見ることができます。どうすれば極限宇宙がよく見えるか、考えてみましょう。

14:20-15:00

野村 泰紀

宇宙は沢山あるのか?!

野村 泰紀(のむら やすのり)
国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 主任研究者 / カリフォルニア大学バークレー校 教授

 

夜空を見上げたとき、そこに広がるのは広大な宇宙です。この宇宙はどこからもたらされたのでしょうか?そしてこの先どのような運命をたどるのでしょう?私たち宇宙の「外側」は一体どうなっているのでしょうか?万物を統一的に説明することのできる理論候補として期待されている「超弦理論」。この超弦理論に代表される最新の理論物理学の発展によって、私たちの想像を絶する驚くべき宇宙の姿が示されることが分かってきました。本講演では、私達が全宇宙と思っていたものは、実は無数の異なる法則に支配される「宇宙たち」(マルチバース)の内の一つに過ぎないという「マルチバース宇宙論」を紹介します。また、こうした従来の宇宙観を全く変えてしまうような世界像の転換と近年及び将来の重要な宇宙論的観測、特に暗黒エネルギーと呼ばれる時空の持つ不思議な性質の発見、私達の宇宙の「曲率」の実験的探索などとマルチバースとの関係についても解説します。