
10月22日(土) 会場:柏図書館メディアホール
定員:約140名(先着順)
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![]() NASAは過去40年の火星探査で何を発見したのか?東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 杉田 精司 (すぎた せいじ)
本格的な火星探査は約40年前に始まり、火星の近くを人工衛星に通り過ぎさせるだけのフライバイ探査、周回軌道に投入する探査、着陸探査、そして地表面を動き回る探査車を用いたローバー探査と大きく進化してきました。そして、そこから得られる情報も格段と高まり、今では火星の表面を30cmという驚くべき細かさで調べた地図まで作られるようになっています。そして、今年の柏キャンパス一般公開が行われる前後にNASAは、約26億ドルもの巨額の予算を投じて開発した史上最大の火星探査車MSLを打ち上げる予定でいます。この探査計画は、これまで約40年の火星探査の1つの区切りとなる非常に大きな探査で、火星の地質や気候の歴史について調べるのに加え、生命の有無についても革新的なデータを得ようと挑戦しようとしています。 |
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![]() 宇宙を支配する方程式の検証とその発展〜重力波プロジェクト〜東京大学宇宙線研究所教授 黒田 和明 (くろだ かずあき)
重力波は、アインシュタインの一般相対性理論で予言された時空の波動でパルサー観測により実在が示された以外、直接的な検出例はない。重力波が直接検出されれば、中性子星やブラックホール等の高密度天体のダイナミクスが直接分かると同時に、一般相対性理論が強い重力場で検証され、重力の理論ひいては究極的統一理論の構築に向けて有益な観測結果を提供できることとなる。また、天文学的には、従来の光や電波、X線・ガンマ線などで観測できなかった天体・銀河や宇宙の深部に関する情報が得られ、これまで以上に豊富なデータに裏付けられた宇宙論が展開できるようになる。このように一般相対性理論は、物理学としても天文学としても重要であり、重力波検出の学術的意義は疑う余地がない。重力波検出実験は、1960年代にメリーランド大のJ. Weberによる共鳴型アンテナによって開始され、その検出の実現はかれこれ半世紀にわたって科学者の夢であった。しかしながら、共鳴型アンテナによる検出は困難であるという認識から、1990年代以降長基線レーザー干渉計に研究開発の重点が移り、これらを用いた長時間観測が行われている。本講演では、重力波検出の意義を述べるとともに、その検出に向けて取り組まれている世界の現状、日本の状況を紹介する。 |
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![]() ジェロントロジー(老年学)の研究拠点が柏に東京大学高齢社会総合研究機構機構長・教授 鎌田 実 (かまた みのる)
ジェロントロジー。耳慣れない言葉かもしれませんが、日本語にすると老年学、加齢学と訳されます。しかし、老年医学や老年社会学といった狭い学問分野が想像されがちなので、私共は広く高齢社会にまつわる学問を指すものとしてジェロントロジーという言葉を使っています。ジェロントロジーを扱う組織として2009年に本学総長室総括委員会に高齢社会総合研究機構が設置されました。また、2011年5月から、柏キャンパスにジェロントロジーの研究拠点が稼動を開始しました。本講演では、ジェロントロジーとは何か、東大のジェロントロジーに関する取り組みについて、ご紹介いたします。 |