柏キャンパス特別講演会

10月25日(土) 会場:柏図書館1階メディアホール

13:00~13:40
「海の安全-巨大波の予測・監視の可能性-」
東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻 准教授

講演内容
外洋に突然現れる巨大波の存在は、日本では三角波、欧米では、Freak Wave(はぐれ者の波)、Rogue Wave(ならず者の波)、台湾ではMad Dog Wave(狂犬波)と呼ばれ、古くからその存在は知られている。こ の10年ほどで、理論、実験、予測、観測で、巨大波の発生メカニズム、影響について研究が進み、波長と方 向が一様になる非常に特殊な波浪場が形成されると、起こりやすいことがわかってきた。また、北海油田や 日本近海の事故解析の記録から、巨大波の発生には何らかの気象条件が原因である可能性も指摘される。 このような巨大波について、歴史的な海難事故や最新の研究例を紹介し、風、海流、波浪の計測、数値シミ ュレーションと衛星観測との組みあわせによる、予測・監視の可能性について紹介する。

13:40~14:20
「カーボンフットプリント-商品へのCO2排出量の添付-」
東京大学人工物工学研究センター教授

講演内容
スーパーやコンビニで販売されている商品のCO2排出量を、ラベルとして貼り付ける「カーボンフットプ リント」が「CO2の見える化」の具体例として注目されています。今年から企業の実施を支援する国のプロ ジェクトが始まり、また、実施方法を国際標準規格にする活動も開始されました。この講演では、先行事 例を紹介しながら、商品のCO2排出量の計算方法とその課題を整理し、カーボンフットプリントの将来の あり方を考えます。

14:20~15:00
「消えた反物質の謎」
東京大学数物連携宇宙研究機構機構長

講演内容
映画スタートレックの宇宙船エンタープライズ号は反物質のエンジンで動くということです。来 年夏封切りの「天使と悪魔」では反物質を手にバチカンを脅迫する悪者をトム・ハンクスが暴きま す。この映画ではわずか0.25グラムの反物質が広島の原爆と同じエネルギーを出すということで す。この反物質とは一体何でしょうか? 全ての物質には反物質があります。物質と反物質が出会うと猛烈なエネルギーを出して消滅 します。エネルギーはまた別の物質と反物質のペアを生み出します。実験室で作れるのですか ら、膨大なエネルギーで始まったビッグバンでは沢山の反物質が作られたはずです。しかし私た ちの身の回り、また見渡す限りの宇宙どこにも存在しません。これは大変幸いなことです。とい うのはもし反物質があれば私たちはいつ消滅の運命にさらされるか分からないからです。 それではビッグバンで作られた反物質はどこへ行ってしまったのでしょうか?この講演では消 えた反物質の謎について、最近のデータに基づいて最新の理論をご紹介します。