特別講演会10月25日(土)
- 日時:10月25日(土)13:00 ~ 15:00
- 会場:新領域環境棟1階FSホール
- 定員:当日先着180名(満員の場合は入場をお断りする場合がありますのでご了承ください。)
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![]() ニュートリノで探る素粒子の世界と宇宙東京大学宇宙線研究所・准教授 塩澤 眞人 (しおざわ まさと)
ニュートリノは素粒子の仲間の中でもとらえるのが難しく、いまだ謎の多い素粒子です。しかしこの宇宙はビッグバンの残骸の無数のニュートリノで満たされており、ニュートリノの性質は宇宙の成り立ちを理解する鍵となると考えられています。 この20年間、日本の実験が中心となり、ニュートリノの重さや3種類のニュートリノ間での関係が次々と明らかになってきました。わかった性質は現在の素粒子の理論で自然に説明することはできず、素粒子の統一理論の存在の可能性を示していると考えられています。また将来、ニュートリノとその反粒子である反ニュートリノの性質の違いを実験で調べることにより、なぜビッグバンで作られた反粒子が現在の宇宙には存在せず、粒子だけが現在残っているかという謎にせまる事ができると期待されています。 本講演では謎に満ちたニュートリノの紹介と、巨大ニュートリノ実験スーパーカミオカンデでのニュートリノをとらえる方法、ニュートリノ研究やその成果、そして将来のニュートリノ研究の見通しを紹介したいと思います。 |
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![]() 物質の第4の状態“ガラス”~その謎に迫る
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![]() がんゲノム情報を活用した新しい治療法の開発東京大学大学院新領域創成科学研究科客員教授(国立がん研究センター・トランスレーショナルリサーチ分野長) 土原 一哉 (つちはら かつや)
がんは体の中の細胞が少しずつ変化してできた異常な細胞のかたまりです。がん細胞の多くは遺伝子にできる異常が原因で発生します。遺伝子異常にはおもに細胞を増殖させるアクセルが強くなるもの(がん遺伝子の活性化)とブレーキがきかなくなるもの(がん抑制遺伝子の不活化)があります。いくつの遺伝子に異常が重なるとがんができるのでしょうか? DNAが約30億個つながっているヒトのゲノム(遺伝情報の全体)には2万個以上の遺伝子があります。そのすべてについて異常がないかを調べられる次世代DNAシーケンサーが開発されました。私たちは肺がんや大腸がんのサンプルを解析を行い、いろいろな組み合わせで1例あたり平均して百個以上の遺伝子に変異があることを明らかにしました。 最近、活性化したがん遺伝子が作る酵素のはたらきを阻害する薬「分子標的薬」が有望ながん治療薬として実用化されています。肺がんで見つかる異常なEGFRやALKを標的とした治療は日本でも一般的に使用できるようになりました。これからはがんの特性にあわせた治療法を選ぶ必要があります。そのためにはひとりひとりの患者さんのがんでおきている遺伝子異常をできるだけ速く正確に診断する必要があります。 私たちは患者さんの生検(バイオプシー)サンプルから遺伝子変異をみつけだす臨床研究などを通じ、がん遺伝子検査の安全性と有効性を検証しています。 |